親の相続も他人事じゃない|50歳で相続税を自分事として整理

50歳になり、相続対策として遺言書を書いて妻に伝えました。
私は幸いなことに両親がまだ健在ですが、今後は自分が相続を受ける側の立場になるのも事実です。
身の回りでも親御さんの不幸の話を耳にするようになり、
「自分が受ける側になったとき、何をどうすればいいのか」を一度きちんと調べてみることにしました。
一度まとめて整理しておけば、いざという時に動く優先順位がつけやすく、
姉や妹と分担する際にも困らないと考えたからです。
妻も両親が健在なので、もらう側・渡す側の両方の知識を整理しておけば、
何かあったときにアドバイス程度はできるはず、という思いもありました。
ただ「知らないまま慌てる」よりは、先に整理しておくほうが自分の性に合っていました。
相談されたら対応できる、自分からいざとなったら切り出せるようにしておけばパニックだけは防げると思ったからです。
結論:相続税は「他人事」だと思っていたが、調べたら驚いた
最初は「相続税なんて一部のお金持ちの話だろう」と思っていました。
ところが調べてみると、課税対象になる人の割合は年々増えています。
そこで「これは他人事じゃないかもしれない」と考え直し、
相続を受ける側として何が起きるのか、順を追って整理することにしました。
この記事は、いわば自分用の「相続を受ける側の手順書」です。
会社員にとっては時間の無さが最大の敵だという認識は変わらなかったです。
まず驚いた「相続税の仕組み」
課税される人は、昔より大きく増えている
私が一番驚いたのは、相続税の課税割合の変化です。
- 平成26年分(2014年):4.4%
- 令和5年分(2023年):9.9%
- 令和6年分(2024年):10.4%(初めて1割を超えた)
かつては4%程度、つまり「25人に1人」ほどだった課税対象が、
今では10人に1人にまで増えています。
これは2015年に基礎控除が引き下げられたことが大きな原因です。
ちなみに私の住む静岡県は、令和5年分で11.0%と全国平均より高めでした。
都市部(東京は約19%)ほどではありませんが、「うちは関係ない」と言い切れない数字です。
基礎控除:いくらまでなら相続税がかからないか
相続税には「基礎控除」があり、遺産がこの金額以下なら相続税はかかりません。
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
たとえば法定相続人が3人なら、
3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円までは非課税です。
意外だった「法定相続人」の順位
これも調べて意外だったのですが、相続人になれる人には順位があります。
- 配偶者:常に相続人になる
- 第1順位:子(いれば、親は相続人にならない)
- 第2順位:親などの直系尊属(子がいない場合)
- 第3順位:兄弟姉妹(子も親もいない場合)
私は「自分が親の相続を受ける」と考えていましたが、
逆に自分に万一のことがあった場合、子がいれば私の親は相続人に入らないのだと知りました。
幸い私には妻子がいますが、お子さんがいない方など相続人の組み合わせが変わってきます。
「自分の場合は誰が相続人になるのか」を一度確認しておくと安心だと思いました。
次に整理した「相続の流れと期限」
相続税の仕組みが分かったところで、実際に親が亡くなった場合、
何を・いつまでにやるのかという流れを時系列で整理しました。
- 7日以内:死亡届の提出
- 3ヶ月以内:相続放棄・限定承認をするかの判断
- 4ヶ月以内:故人の所得税の準確定申告
- 10ヶ月以内:相続税の申告・納付
特に3ヶ月以内の相続放棄の判断は重要です。
借金などのマイナスの財産が多い場合、この期間を過ぎると原則として放棄できなくなります。
我が家は両親・自分ともに借金がないことは確認済みですが、
「期限を過ぎると選択肢がなくなる」という点は頭に入れておきたいところです。
土日は役所がやってない為、ずっとバタバタして1年くらい落ち着かないと、
同僚が言っていた言葉を思い出しました。
知っておきたい「口座凍結」と「仮払い制度」
流れを調べる中で、特に実感を持って「これは大事だ」と思ったのが口座凍結の話です。
銀行は、名義人が亡くなったことを知ると、その口座を凍結します。
凍結されると、遺産分割が決まるまで原則としてお金を引き出せなくなります。
ここで大事なのは、銀行は身内が窓口で「亡くなりました」と伝えて初めて把握することが多いという点です。
つまり、葬儀費用など当面必要なお金は、伝える前に引き出しておくと慌てずに済みます。
私は受取人として同席していたのですが、その場で「相続のときは、窓口で伝えて初めて銀行が亡くなったことを把握するケースが多いらしい」という話を持ち出してみました。
そのうえで「だとしたら、必要な経費は伝える前におろしておいた方がいいですよね?」と、自分の見解をそれとなくぶつけてみたんです。
銀行員さんは、まわりに上司や同僚がいないこともあってか「そうですね」という受け答え。
明確に否定されなかったので、あながち間違いではなさそうだ、と感じています。
もし凍結されてしまっても「仮払い制度」がある
とはいえ、間に合わずに凍結されてしまうこともあります。
そんなときのために、2019年の民法改正で「相続預金の払戻し(仮払い)制度」ができました。
遺産分割が終わる前でも、各相続人が単独で一定額を引き出せる制度です。
- 1つの金融機関あたり上限150万円
- 計算式:相続開始時の預金額 × 1/3 × その相続人の法定相続分
- 葬儀費用や当面の生活費に使える(使い道は問われない)
この150万円という上限は、「約1年分の生計費または平均的な葬儀費用を賄える金額」を根拠に決められたそうです。
「凍結されたら終わり」ではなく、救済策があると知っておくだけでも安心感が違います。
調べた上で立てた、自分なりの「仮計画」
ここまで整理した上で、私自身の現時点でのスタンスをまとめておきます。
(未経験のことなので、あくまで「今の情報と心境ならこう動く」という仮の計画です)
- 親の資産を自分の資産としては当てにしない(相続をあてにした資産計画は立てない)
- そもそも相続税が発生する可能性は高くないと見ているが、その上で自分の資産形成は進められている
- 両親・自分ともに借金がないことは確認済み(自営業も綺麗に廃業済み)
- 土地や自宅に必要以上の執着はない。手に負えない部分は専門家に相談する
- ただし動く前に、まず妻子と相談する
それでも念のため調べてみたところ我が家の場合、ざっと試算した限りでは基礎控除の範囲内で、相続税はかからない見込みです。
ただ『調べる前は分からなかった』というのが正直なところで、知らないまま不安を抱えるより、一度試算してみる価値はあると感じました。
相続で揉める、いわゆる「争続」については、
姉と妹がいますが、お互いの配偶者が変に口を出してこなければ、特に心配はしていません。
とはいえ「お金以前に感情の問題でこじれる」ケースもあると聞くので、
そこは引き続き気に留めておこうと思います。
まとめ:これは自分用の「相続を受ける側の手順書」
今回まとめたのは、いわば自分のための手順書です。
以前書いた遺言書の記事が「遺す側」の準備だったとすれば、
今回は「受ける側」の準備にあたります。
- 相続税の課税対象は昔より増えている(今は約10人に1人)
- 相続には期限がある(特に放棄は3ヶ月、申告は10ヶ月)
- 口座凍結に備え、当面の現金は早めに。凍結後も仮払い制度がある
- 自分のスタンスを先に決めておくと、いざという時に迷わない
正直に言うと、今のところこちらから親に切り出すつもりはありません。
デリケートな話ですし、相手の心境次第では険悪な空気になりかねないからです。
ただ、もし親のほうからそういう話題が出たときには、
素直に耳を傾けて、きちんと整理しておこうと思っています。
準備とは、お金の話だけではなく、
いざという時の心身の負担を少しでも減らしておくこと。
それが、今回調べて一番強く感じたことでした。
心の準備の参考になれば嬉しいです。
相続の手続きや税額は個々の状況により異なります。
実際の判断は税理士・司法書士などの専門家にご相談のうえ、ご自身の責任でお願いします。












